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専門家が選ぶ、2019年放送テレビドラマで面白かったドラマ・ベスト5をドン! と発表!!

今宵、どんなドラマを描こう 第10回

4位 『凪のお暇』

主演・ 黒木華 2019年7〜9月放送 TBSテレビ

<あらすじ>

“大島凪(黒木華)はOL時代、自分を偽っていた。同僚たちに同調しようと、顔色を伺い、ランチにつき合い、SNSでは「いいね!」を押す。天然パーマも隠してストレートヘアにして、恋人の我聞慎二(高橋一生)と交際していた。それも28歳の適齢期に結婚をするため。ただ慎二が凪のことを「体だけが目的」だと話していることを聞いてしまい、全てを捨てて新しい自分になろうと決意。仕事も住まいも、我慢も全てを捨てて飛び出した。”

 今年、やっと話題になってくれたと思うのが“同調女子”。一人で仕事をしている私には縁遠い世界なのだが、酒場で会う女子や仕事で会う女性軍たちの心をむしばんでいた理由のひとつだ。数年前からSNSで誰もが自分のことを発信できる時代になったあたりから、よく聞くようになった。なんだか妙な話だと思っていた。集団行動は大人として必要なものだけど、明らかに境界線を超えている。そんなふうに思っていた。

 同じように凪も同調することに、自我を殺して振り回されていた。ずっと無理をしていたのだ。ストレスはどこかで体に現れる。彼女は全てを捨てた。

「だって、だってたぶん、空気って、読むものじゃなくて吸って吐くものだと思うから!」

 捨てた恋人に向かって怒鳴ったこの一言は、ニヤリとさせるものがあった。深呼吸ができるようになった凪に、怖いものがなくなった瞬間だった。その機微を表現する黒木華さんの演技は、素晴らしいといえばそれまでなんだけど、個人的にはズシン、と重かった。クルクル天然パーマに、だぼTシャツ姿というライトな格好。でも凪の見せる開放感の向こうには、いつも群青色の暗がりが伝わってきたから。

 みんなが凪のようにホップステップジャンプするのは難しい。でもこの作品を見て、共感するだけでなく、その向こう側に女子が一歩でも進んでいってほしいなと願わんばかり。

次のページ3位は…

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小林久乃

こばやし ひさの

コラムニスト、編集者

出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」(K Kベストセラーズ)にて作家デビュー。最新刊は趣味であるドラマオタクの知識をフルに活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊行)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディア構成、編集、プロモーションなどを業とする、正々堂々の独身。最新情報はhttps://hisano-kobayashi.themedia.jp

 

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結婚してもしなくてもうるわしきかな人生
  • 小林 久乃
  • 2019.11.30